会長 坂本 茂樹 神戸大学名誉教授(国際法)

会長 坂元 茂樹
神戸大学名誉教授(国際法)

 2008 年に日本海洋政策研究会として発足した本学会は、2011 年に日本海洋政策学会となり、2013 年には日本学術会議の協力学術研究団体に指定され、小宮山宏先生、奥脇直也先生という歴代の会⻑の優れたリーダーシップの下で学際的な学会として充実発展を遂げてまいりました。日本海洋政策学会にご参加いただいている理事をはじめ会員の先生方はそれぞれ専門分野を異にしていますが、「海の憲法」と称される国連海洋法条約の前文で強調されているように、海洋を巡る諸問題は相互に密接な関連を有しており、あるべき問題解決のためには専門分野横断的に知識と問題関心を共有し、海洋政策を協議する必要があります。そうした受け皿として本学会は存在すると考えております。

 地球はその約 70%が海洋で占められている惑星です。宇宙にあって「地球」は、「水球」とも呼ぶべき特異の環境を有する惑星です。人類を含め生命の起源は海にあるとされ、最近の研究では⼤陸は海から生まれたとの仮説も日本の研究者から唱えられています。

 本学会は、21 世紀の国際社会における海洋の総合的管理や持続可能な開発に必要な海洋政策の構築には、学際的かつ総合的な学術研究の推進及および深化が必要であるとの認識の下、文理融合の学際的な学会として活動しています。また、海は世界中につながっており、海洋問題は本来的に国際的性格を有しています。そこで、本学会は、総合的な海洋政策の形成に関する学術分野での国際的交流に務め、海洋と人類との共生に貢献したいと考えています。

 2021 年1月1日から「持続可能な開発のための国連海洋科学の 10 年」が始まりました。「国連海洋科学の 10 年」は、海洋の持続的な開発に必要な科学的知識、基盤、パートナーシップを構築し、海洋に関する科学的知見、データ・情報を海洋政策に反映し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献することを目的としています。海洋は、⼤気中の熱および二酸化炭素の吸収能力が⼤きく、人間活動に起因する気候変動の緩和に役立ってきました。しかし近年、地球温暖化による海面上昇に加え、海洋生態系は酸性化、貧酸素化の進行により危機的状況が迫っています。さらに海洋プラスチックごみ汚染の深刻化が加わっています。

 人間社会の在り方に⼤きな影響を及ぼす海洋問題の解決のための政策はいかにあるべきか、真剣に議論しなければならない時期を迎えています。本学会はこの観点からも重要な役割を果たすことが期待されているといえます。海洋立国であり、科学技術立国である日本は、2007 年に海洋基本法を制定し、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進する取組を開始し、5 年ごとに海洋基本計画を継続的に見直していく体制をとっています。現在は、「新たな海洋立国への挑戦」を政策の柱とする第 3 期海洋基本計画の下、海洋の安全保障を含む総合的な海洋政策を官⺠一体となって進めています。本学会は、第 3 期海洋基本計画の策定にあたって、さまざまな政策提言を行いました。日本において、本学会が果たすべき役割は今後ますます⼤きくなるものと確信しております。

 2020 年には新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、海の世界にも多⼤な影響を及ぼしました。「with コロナ」「after コロナ」の時代の海洋の秩序の維持と発展に本学会がどのように貢献していくのかという新たな課題も生まれています。

 本学会には多分野の専門家が集まっています。そうした学問的英知を結集して、「私たちの望む海」の実現に向けて学会活動を続けてゆきたいと思います。みなさまの積極的なご参加をお待ちします。

会長 坂本 茂樹 神戸大学名誉教授(国際法)

会長 坂元 茂樹
神戸大学名誉教授(国際法)

 2008 年に日本海洋政策研究会として発足した本学会は、2011 年に日本海洋政策学会となり、2013 年には日本学術会議の協力学術研究団体に指定され、小宮山宏先生、奥脇直也先生という歴代の会⻑の優れたリーダーシップの下で学際的な学会として充実発展を遂げてまいりました。日本海洋政策学会にご参加いただいている理事をはじめ会員の先生方はそれぞれ専門分野を異にしていますが、「海の憲法」と称される国連海洋法条約の前文で強調されているように、海洋を巡る諸問題は相互に密接な関連を有しており、あるべき問題解決のためには専門分野横断的に知識と問題関心を共有し、海洋政策を協議する必要があります。そうした受け皿として本学会は存在すると考えております。

 地球はその約 70%が海洋で占められている惑星です。宇宙にあって「地球」は、「水球」とも呼ぶべき特異の環境を有する惑星です。人類を含め生命の起源は海にあるとされ、最近の研究では⼤陸は海から生まれたとの仮説も日本の研究者から唱えられています。

 本学会は、21 世紀の国際社会における海洋の総合的管理や持続可能な開発に必要な海洋政策の構築には、学際的かつ総合的な学術研究の推進及および深化が必要であるとの認識の下、文理融合の学際的な学会として活動しています。また、海は世界中につながっており、海洋問題は本来的に国際的性格を有しています。そこで、本学会は、総合的な海洋政策の形成に関する学術分野での国際的交流に務め、海洋と人類との共生に貢献したいと考えています。

 2021 年1月1日から「持続可能な開発のための国連海洋科学の 10 年」が始まりました。「国連海洋科学の 10 年」は、海洋の持続的な開発に必要な科学的知識、基盤、パートナーシップを構築し、海洋に関する科学的知見、データ・情報を海洋政策に反映し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献することを目的としています。海洋は、⼤気中の熱および二酸化炭素の吸収能力が⼤きく、人間活動に起因する気候変動の緩和に役立ってきました。しかし近年、地球温暖化による海面上昇に加え、海洋生態系は酸性化、貧酸素化の進行により危機的状況が迫っています。さらに海洋プラスチックごみ汚染の深刻化が加わっています。

 人間社会の在り方に⼤きな影響を及ぼす海洋問題の解決のための政策はいかにあるべきか、真剣に議論しなければならない時期を迎えています。本学会はこの観点からも重要な役割を果たすことが期待されているといえます。海洋立国であり、科学技術立国である日本は、2007 年に海洋基本法を制定し、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進する取組を開始し、5 年ごとに海洋基本計画を継続的に見直していく体制をとっています。現在は、「新たな海洋立国への挑戦」を政策の柱とする第 3 期海洋基本計画の下、海洋の安全保障を含む総合的な海洋政策を官⺠一体となって進めています。本学会は、第 3 期海洋基本計画の策定にあたって、さまざまな政策提言を行いました。日本において、本学会が果たすべき役割は今後ますます⼤きくなるものと確信しております。

 2020 年には新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、海の世界にも多⼤な影響を及ぼしました。「with コロナ」「after コロナ」の時代の海洋の秩序の維持と発展に本学会がどのように貢献していくのかという新たな課題も生まれています。

 本学会には多分野の専門家が集まっています。そうした学問的英知を結集して、「私たちの望む海」の実現に向けて学会活動を続けてゆきたいと思います。みなさまの積極的なご参加をお待ちします。